松本 整
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COLUMN
健康コラム
怪我からの復帰(関谷俊彦の巻 その6)
2008.06.16
———ここで又、とんでもない話が出てきました。
長い間休んでいたので、5月中にタイムのテストを受けて7月迄にレースに乗らないと選手資格がなくなってしまうというのです。今迄にこの様な厳しい条件で選手をトレーニングすることはありませんでした。
———その夜から彼と二人三脚のトレーニングが始まりました。
その日に行うトレーニングメニューを大学ノートに書き込み、終わったら消してゆく方法をとりました。朝8時に二人で朝食を摂り、彼は練習に出掛けて夜8時頃迄帰って来ませんでした。
私のクリニックは夜の8時半迄診療を行っており、彼の食事を作るのは診療が終わってからになってしまうので、夕食は毎晩9時過ぎでした。夕食を食べながら、その日の練習の様子を聞き 明日のトレーニングメニューを作りました。
———2〜3週間経って或る事に気づきました。
朝食と夕食は私が作って一緒に食べていたのですが、昼食はどうしているのかな? ということでした。気になって彼に聞いてみると薬屋さんからサンプルで貰ったカロリーメイトを競輪場へ持って行って、水道水と一緒に食べていたとの事でした。
"これだって食べていれば餓死はしませんよ"
明るく答える彼の表情から決意の堅さが伝わってきました。
"昼食をちゃんと食べなきゃ駄目じゃないか、これで食べなさい"
と言ってお金を渡したら最初は固辞していましたが、
その内 "お借りします" といって持って行きました。
食堂で昼食を食べているものと思っていましたら、そのお金でバナナと卵を買ってきました。カロリーメイト4本、バナナ2本、茹で卵2ヶ、競輪場の水道水というのが彼の3ヶ月続けたお昼のメニューだったのです。
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コラムの著者
寺門敬夫
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