松本 整
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COLUMN
健康コラム
怪我からの復帰(関谷俊彦の巻 その5)
2008.05.19
何事かと思ってびっくりしましたが、取り敢えず中に入れて話を聞きました。
"もう一度自転車にのりたいのです"
"君は自分の怪我の状態が分かっているのかい?
脊損(脊椎損傷)だよ 首の骨が折れていて死にかかっていたんだよ"
"3ヶ月間 頭を器械で固定されて天井ばかり見ながら考えていました
どうせ死ぬならバンクで死にたいのです"
"チョット待ってくれよ バンクで死なれたら皆が困るんだよ
それに脊損の選手を又 走らせたら僕も医者としての立場が無くなるんだ"
"皆に内緒で自転車に乗ってみました
大分乗れる様になりスピードも出せる様になりました"
開いた口が塞がらないとは正にこの事でした。
何と周りに内緒で一人で練習を始めていたのです。レントゲンを撮ってみると頸椎、胸椎の骨折部分は治っていました。しかし又 落車をして同じ場所を打ったら 今度は完全に脊損になり命が危ないのは解りきっていました。
"3年間休んでいました この間は女房がスーパーのレジ等で生活費を稼いでくれていたのです。しかし このままでは餓死して死ぬのを待っている様なものです。どうせ死ぬならバンクで死にたいのです"
"死なれたら周りが困るんだよ"
同じ会話が延々と続きました。
いくら説得しても駄目なので最後の切り札として
"選手として復帰する為には200mと1000mで規定のタイムを出さなければ駄目なんだよ。そんなに早く走れっこないだろう!"
"走れます 自分一人で走ってみて ある程度タイムが出る様になってきたのです"
"骨折は治っている 落車して同じ場所を同じ力で外傷を受ける確率は……" 等と
自分の中で復帰させる事に考えが少しずつ傾いていきました。
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コラムの著者
寺門敬夫
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