松本 整
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COLUMN
健康コラム
中野浩一に見る一流選手の条件とは
2007.12.29
医師として彼の怪我に付き合っていて解ったことが何点かありました。
まず彼はとても頭が良いのです。何が本物か、どうしたら良いのかを考える力がありました。
有名選手が怪我をすると、あちこちから親切なアドバイスが入ってきます。どれも自分の経験などを中心にしてあれがよい、これで治ったと言うものばかりです。それに振り廻されてあれを試し、それをやっている間に何が何だか解らなくなってスランプに陥ってダメになる選手を沢山見ました。
怪我の程度、選手の年齢、練習環境、スタッフの様子……考えなければならない条件はいくつもあるのです。アドバイスをした選手は、その方法で治ったとしても貴方が同じ事をやって治るという保障はないのです。必要な事は「なぜその治療をするのか?」「なぜその練習が必要なのか?」をきちんと理解して本物は何かを自分の頭で決めることです。
中野にはそれが出来たのです。医師の私から見ても彼の怪我は酷いものでした。3ヶ月後に世界選手権に出るなんて常識では考えられないものだったのです。しかし途中で「これはいけるかも?」と思ったのは彼の根性でした。
トッププレーヤーとして甘やかして、周囲が扱っていたので解らなかったのですが、実は彼はとても練習熱心だったのです。あの痛みに耐えたのも立派でした。医師だからその痛みや苦しさが解るだけに彼の強さを感じました。次に「どうやったら相手に勝てるか?」を常に考えているのです。俵の例にそれを見ました。
たまたま勝ったのは偶然で、どうしたら勝てるかを考え努力して勝ったのが勝利なのです。
一流選手は皆それを持っていました。派手なデビューをして、すぐに消えてしまう選手はなぜ勝ったかが解っていないのです。最後は「運」です。紙一重の所で片方が勝ち、片方が負ける、この勝負の世界の不思議さは医者でも解りません。
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コラムの著者
寺門敬夫
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