COLUMN

健康コラム

「肩の痛み」:肩こり(その4)

2007.12.21

 前回まで『肩こり』は、主に肩甲骨を吊り上げる筋肉(僧帽筋や肩甲挙筋など)の疲労状態で、首や肩の筋肉ストレッチングで肩こりを予防できることをお話しました。
 今回は、実は『肩こり』の症状だけど筋肉が原因ではなく、別の原因で医師の診察が必要な『肩こり』についてお話します。


—— 医師の診察が必要な肩こりの原因として ——

�首の骨からきた肩こり

 頚椎が加齢的変化で変形を生じ、神経が出てくる所を狭くするため肩がこることがあります。頚椎症性脊髄症(頚髄症)といい首の運動でお辞儀をするとき(頚椎前屈)第5,6頚椎にストレスがかかり手の親指付近にしびれがでたり、天井を向く(頚椎後屈)と第4,5頚椎にストレスがかかり肘あたりにしびれが出現します。

 症状が進むと……
�小さな字を書くとか、箸を使う、ワイシャツの小さなボタンをはめるなどの
 細かい動作が困難(巧緻障害)
�足が突っ張ってロボットのようにぎこちない歩きになる(痙性歩行)
�脊髄が圧迫されるために大小便が出にくくなる(膀胱直腸障害)

 が出てきます。このような症状があれば手術を要することとなります。


�内臓からくる肩こり

 内臓からくる肩こりで一番特徴あるのは左肩が痛いときです。この場合は心臓の病気で心筋梗塞、狭心症といった心臓の血行が悪くなって生じる虚血性心疾患を考えます。

 以前「急に左肩が痛くなったので肩に注射を打ってください」と診察にこられた患者さんがいて、筋肉の張りや凝り感がなく、何となく違和感を覚えて、「胸は苦しくないですか?」と聞いても「肩が凝っているから、胸も重い感じがする」との返事でした。念のため心電図を行うと心筋梗塞の波形を示し、すぐに入院治療となり、一命を取り留めホッとした経験があります。

 反対に右肩が痛いときに一番多いのは胆石、胆のう炎などがあります。また肺の上端に肺癌(パンコースト腫瘍)ができた場合、手がしびれ同時に肩こりで痛くなる場合があります。また血圧が高い人は肩こりを訴えやすいと言われています。


�精神的要素の入った肩こり

 職場の仕事量が多い、仕事への満足度が低いなどで精神的なストレスを感じたり、何でも自分の病気と結びつけるような性格でも肩こりが生じることがあります。このような場合、メンタルクリニックのような専門的な治療が必要なことがあります。


 このように『肩こり』といっても様々な原因から生じることがあるので、少しでも気になることがあれば、医師の診察を受けるようにしてください。
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寺門厚彦

コラムの著者

寺門厚彦

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