松本 整
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COLUMN
健康コラム
怪我を根性で治そうとする者は一流にはなれない(その5)
2007.11.14
退院してからの中野の練習には悩みました。傷ついた場所(左肋骨)は安静にして、まず身体の他の部分を鍛え上げ、次第に全体を仕上げていき、一方では心肺機能の向上を並行して訓練していくことを考えました。
スクワットを中心とした下肢のトレーニングはスタートから一番重点が置かれたものでした。右上肢 →左上肢 →背筋 →腹筋と次第に患部に近付くように筋力トレーニングを行う一方、最初から心肺機能の低下を予防する為に、プールでのトレーニングも行いました。
実は中野はスポーツ万能に見えますが、泳ぐことは本当に下手だったのです。必死になって足をバタバタさせるが、なかなか前に進まないのです。それがかえって心肺機能の向上に役立つとは皮肉な事でした。
そして最後に仕上げる為には、自転車に乗ってのトレーニングが不可欠であり、実際彼がバンクでの練習を始めた時にはホッとしました。しかし負傷場所の痛みの為か、怪我の前に比べて上半身のフォームが違っているのです。ハンドルの引きがどうしても甘くなって、それが全体のフォームを乱している事に気付きました。
肘を横に張り出した中野独特のフォームに完全に戻ったのは、世界選手権の4〜5ヶ月前だったのです。順調な仕上がりのように思われましたが、とんでもない落とし穴が待っているとは、この時はまだ我々も中野も気付いていませんでした。
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コラムの著者
寺門敬夫
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