「一瞬」
2006.09.04
コンピューターで、何かをするたびに、画面に登場する「砂時計」。
コンピューターの「砂時計」が消えるまでの間も、俺が背負った「見えない砂時計 “Life Time”」は、チリチリと砂を落としている。そう考えるだけで、自分のパソコンの処理速度が遅いことにイラついていた俺は、最高レベルのCPU、必要以上のメモリを搭載したパソコンを購入した。
人生で、絶対に戻らないものは「時間」である。
決して「時間に正確に」ということではない。
人に与えられた時間は、誰もが有限であるという現実。その現実のなかで「密度の濃い時間」を過ごす喜びは何物にも代えがたいということである。
俺のこの感覚に、ぴったりの写真展をいろいろな偶然が重なったことで見ることが出来た。「一瞬の永遠」と名付けられたその写真展は、恵比寿ガーデンプレイスで催されていた。
ずれ込んだ打ち合わせのおかげで、2時間ほどの空白の時間が出来た。幸いよいお天気だったので、待ち合わせのホテル近辺を散策してみた。近代的な高層ビルとノスタルジックな建物が入り混じった独特の雰囲気の空間。その中に写真美術館はあった。
10万分の1秒という瞬間を切り取り、永遠という時間軸に閉じ込めることに成功した橋村泰臣氏の「作品」を見て、時間の持つ「恐ろしさ」と「美しさ」を改めて感じることができた。この一瞬一瞬の積み重ねが、人生なのである。ならば、当然その一瞬をおろそかにしていては、積み重なった結果である「未来」を夢見ることは出来ない。
この世にあるものすべては、常に変化してゆく。
そして、何物も、いつかは、滅するのである。
如何に咲き、いかに滅するかは、すべて一瞬の中にある。