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松本 整 オフィシャルブログ「鉄人疾走」

「改札」

2006.08.08

 人が、こんなに電車の車両に乗れるとは想像を上回っていた。
はっきり言って、人が押し寿司の寿司飯ように車両に中に詰まっている。「土曜のこの時間に(PM19時すぎ)何でこんなに朝のラッシュアワーの様になってんねん??」と思いながら、前後左右を萎びたおっさんと体格のいい兄ちゃん、そして機嫌悪そうな女性、さらにぶつぶつ文句を言っている中学生男子に囲まれ、挙げた手も降ろせずに、御堂筋線の地下鉄を心斎橋から梅田まで圧迫固定の状態で過ごした。日頃、通勤電車を利用する事がない俺にとっては、人生初体験といえる凄い混み様だった。
 噴射するように電車から押し出された地下鉄梅田駅。普段なら、振り返って睨み付けたくなる様な、後ろからの強力な圧力も、車内のギュウギュウ詰めの圧迫に比べれば、解き放たれる開放感が圧倒的に勝っていた。
 原因不明の混雑振りに翻弄されたが、「後は阪急電車に乗って、ゆっくりできるだろう。」と考えながら阪急梅田駅の改札へ向かって歩く。しかし、エスカレーターを上がり切った所で、俺の思惑は完全に崩壊した。
 何と、切符売り場が、超満員の電車状態となっていた。「次の阪急十三駅付近は、大変な混雑となっています。淀川花火大会へは、阪急電車を利用せず、徒歩にて移動してください。約20分程度で着きます。」の様なことを阪急構内で放送していた。これを聞いて、夕方に心斎橋まで乗ったタクシーの運転手の話を思い出した。「あの時の運転手が、今日は花火大会が淀川であると話していたな・・。これのことか・・・。買い物せずに、トットと帰れば良かったか!?」これで、地下鉄の予期せぬ状態も納得できた。「しかし凄いな。阪急電車の構内放送が、阪急電車を利用するなと言うのも・・。」
 長い列の最後尾から、切符の自動販売機の前に立ったときに、次の目的地行きの電車の発車まで、後一分程度だった。既に小銭は手に持っている。流れるような手さばきでコインを投入し、切符の金額を押し、出てきた切符をひったくるようにして改札へダッシュする。   
 瞬間的に、一人も並んでいない改札の入り口をすばやく見つけ、切符を右手に握り変えた瞬間に、目の前にオバサンが割り込んできた。そのうえ切符を入れるのに何故か手間取っている。「やばい!」横の改札は何人か並んでいるため移動しても仕方ない。こうゆう時は1秒のロスもとても長く感じる。ようやく改札を抜け、目的のホームの階段を駆け上がった瞬間に、無常にも電車は出発して行った・・・。
 しかし、おかげで15分後に到着した次の電車には、一番に車内に乗り込み、二人がけに、一人でゆっくりと座り、おまけに車窓からは、ちょうど今、始まったばかりの淀川の花火をゆっくりと眺める事が出来た。時計は午後8時を少し回っていた。 
 「こっちの電車の方が良かったな。」 何が良いのか、悪いのか?こんなちょっとした出来事のように、人生も終わってみるまで、分からない!?
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