「勝手?」
2008.05.24
今月の13日に介護保険の給付費抑制案が財務省より財政制度審議会に示された。
基本的には、膨張し続ける介護保険の給付費の支払い抑制を目指し、利用者の自己負担の増加を軸とした試算である。
また、今年の4月から厚生労働省が導入に踏み切った後期高齢者医療制度にしても、今まで扶養家族として保険料負担のなかった75歳以上の約200万人に保険料の徴収があることなど、これも利用者の自己負担が増える方向には変わりはない。
さらに、現行の国民年金制度は、現役世代が、引退した世代を支えるシステムとなっており、今後急速に進む少子高齢化を考えれば、現役世代の負担の増加は必然の近未来となっており、他にも加入は全員であるのに対して、支給は自己責任での申請という制度など、制度自体に様々な問題を抱えている。
多くの現役世代が、社会保障費の負担にあえぎ、引退する世代も、利用者自身の自己負担がどんどん増加するという日本の社会保障の現実。
現行の社会保障システムは、早急に世代間の負担のバランス、高齢者の負担の応分化などを整理し、急速に進む少子高齢化という今の日本が抱える大問題に対応できるシステムへの抜本的な改革を必要とする時期に来ている。
そうした中、これらの問題には他人事のように関心を示さず、こうした全体の中での自分のできることは何か?という考え方が全くない大人が意外と多い。これは日本のある世代だけの特徴だろうか?
誰もが、今すぐに出来ることと言えば、自らが将来にわたって、病院で医療費や、介護保険をできうる範囲で、できるだけ使わないで済むように、少しでも健康的で在り続けよう、今より生活習慣を改善しようと心がけることではないだろうか?
つまり自分が健康的であろうとすることは、自分にとっても幸せなだけなく、社会保障費を支払っている人々のためもなり、社会保障費の負担軽減に貢献することにも繋がるのである。
例えば、止むえない場合は別として、全く健康に留意しない人が、当然のごとく何かの病気に罹患しても、病院で自分のお金を払うのは、治療費全体の1割から3割だけである。
のこりの9〜7割は、国民から集められたお金が、その人の治療費に使われるのである。
必死で、命を輝かせようとする人が病魔に冒され、療養を余儀なくされる不運もある。しかし、全く健康に留意せずに自分勝手に長年暮らした結果、生活習慣病に罹患する必然もある。
果たして俺たちは、自分の健康、不健康でさえ、「自分の勝手でしょ」とは言い切れないほど逼迫している、今の日本の社会保障システムの現状を理解しているだろうか?