「努力と成果」
2007.12.19
76万7千人分の「宙に浮いた年金記録」が見つかった。社会保険庁が年金記録について、特別相談を始めて約1年間で判明した数字だ。06年8月から07年9月までの相談人数は計587万人。この587万人の相談者の中から76万7千人分の記録が見つかったということは、7.65人に一人の記録が、それまでは「宙に浮いていた」ということになる。
現在、基礎年金番号に統合されずに「宙に浮いている」とされる年金記録は約5千万件。これだけの膨大な数字が、誰が支払ったかが不明な記録ということになる。
社会保険庁は、17日より加入者、受給者の約1億人に「年金特別便」の送付を始めたが、この約5千万件の中に、自分の記録が含まれていないか、記載内容を入念にチェックし確認する必要がある。
また、これとは別に12万7千人分は、本人が申立てた記録が発見されないという事態で、年金が受け取れない可能性があることも明らかになっている。
本人が年金保険料を支払ったと主張しても、社会保険庁のコンピューターに記録のない、これら12万7千人は、最終的には年金記録確認第三者委員会へ救済を申し立てるということになるだろう。
しかし、頼みの年金記録確認第三者委員会においても、人員不足などが原因で現在3万人の申し立てのうち、約1千人分しか判定できていない(日本経済新聞より)。もし、この12万7千人が、相次いで申し立てた場合は、さらに、混乱することは間違いない。
本来、国民が、安心して過ごせるために貢献すべき、社会保障システムを司る社会保険庁が、年金不正免除問題なども含め、現在の大混乱の原因を作ってしまった。社会保険庁は、社会保障システムの信頼回復に全力をあげねばならない。
しかし、懸命に努力をしているというだけでは、実社会では評価はされることはない。なぜなら、物事は成果で判断する以外に、適切な評価基準を見出すことは困難だからである。努力を認めて成績に反映してくれるところは、残念ながら学校教育の範疇以外には見当たらない。
経営学者P.F.ドラッカーは「貢献に焦点を合わせるといことは、成果に焦点を合わせることである」と言っている。
振り返って、今、自分たちが行っている仕事は、貢献に焦点を当て、実際に成果を上げているだろうか?
俺たち自身も、成果ではなく、努力を評価してもらおうとするのは、学生時代だけにしておかなければならない甘い考え方だろう。