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松本 整 オフィシャルブログ「鉄人疾走」

「近未来 No.2」

2007.10.25

 「07年版少子化白書の内容が明らかになった」と日経新聞に掲載されていた。
 白書では、少子化が進むなかで持続可能な社会保障制度をつくるためには、高齢者の年金や医療などの給付見直しが必要との見識を示し、人口減少による労働力の不足が、経済成長に悪影響を与え、社会的影響として集落の維持が困難になる可能性も指摘している。

 また、働きすぎを解消し、「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」の実現を重要としているが、現在 1億2千8百万人の日本の人口が、2055年には9千万人を下回り、65歳以上の人口比が5人に1人から、2.5人に1人と倍増すると予測されているのである。  
 つまり、日本のこれからの人口の減少と高齢者の増加は、実際に仕事の現場で働く人々の減少を表わしている。労働力の減少が確実な状況で、現場で働く人々の、ひとりひとりの負担が軽くなるとは到底思えない。「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」など絵空事となるのではないか?

 では、将来、確実視されている労働力の不足をどうするのか?
そこで移民を受け入れるのか? という問題が議論されている。不足する労働者を海外からの移民を受け入れることで解決できるのでは? という考え方だ。
 実際、シンガポールなどのように、南アジアの金融の中心を目指し、さまざまな技能や資格をもつ外国人の移住を促進して、国力のUPを目指している国もある。
 2006年の統計では、シンガポールの総人口448万人のうち約30%が外国人となっている。総人口の内10%が永住権を持つ外国人、20%が外国人居住者という人口比である。そして2050年には総人口650万人を目指すとしている。

 しかし、ほぼ単一民族で長年やって来た日本が、シンガポールの様な、国策を取るとは思えない。
 そこで、大和総研のチーフエコノミスト原田泰氏は、実際に労働する人を受け入れるのではなく、労働をより多く含んだ製品の輸入を提唱している。たとえば100万円の付加価値を生みだすのに、どれだけの人間が必要かということから計算した指標から、製品輸入と輸出の差による労働力の輸入という考え方である。
 全産業の平均が0.128人に対し、農林水産業では0.445人、輸送用機械製品(主として自動車)は、0.085人となっている。つまり、農産物を1兆円輸入し、車を1兆円輸出すれば、36万人の労働力の輸入と同じになるという考えである。産業構造全体をそういった形に変えれば労働力不足を補えるということになる。こういった考えは、うまく機能させれば、グローバルな視点で見た場合には、労働者の減少が日本の国力の衰退へ与える影響を少なくすることが出来るだろう。
 しかし、やはり日本の消費者の人口が減ることには変わりがなく、業種によっては、(日本国内だけでサービスや商品を販売する商売)売る相手の絶対数が少なくなってしまうことに変わりはない。つまり、そういったグローバルな視点で、事業を営める事業スタイルに移行しなければ生き残れないということでもある。
 
 どう考えても、日本の政府・官僚に任せて、安閑としている時代では無い。日本人すべてが、自国の将来について、目先の損得だけでは無い視点で、真剣に考えださなければならない時期にきているのではないだろうか——
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