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松本 整 オフィシャルブログ「鉄人疾走」

「言葉」

2007.07.17

たまたま、『論語』のある一節をネットで検索していたときである。誰かのブログが一件だけヒットした。その人のプロフィールの一部には『パンセ』(パスカル)からこんな文章が引用されていた。前後は省くが「・・・・そうだとすれば、われわれのあらゆる尊厳は、思考の内にある。・・・・」
つまり、人間の尊厳は顔でも体でも、社会的地位でもなく、その思考そのものによるのである。

そして、その思考は、パスカルに限らず多くの人が残した言葉や文章により、さらに磨かれ輝きだす。そうした言葉は、哲学書の中だけではなく、歌の歌詞の中に在るときもあれば、マンガの中のセリフのときもある。小説の中に在るときもあれば、映画の中に在るときもある。
どこかで偶然に一瞬だけ触れた言葉に、人は動かされて人生が開けるときがある。いや開けるという言い方は、あまりに期待を込め過ぎた言い方かもしれない。衝動に駆られるという方が正確だろうか。
どちらにしろ、それだけ言葉には大きな力が宿っている。

俺自身、そうした言葉に背中を押されて生きてきた。
苦しい時、辛いときほど、不特定多数に向けて語られたそれらの言葉は、自分一人のために向けられた言葉のように、俺を奮い立たせてくれた。あの言葉と、あの本と、またはあの歌と出合わなければ、また違った人生があったかもしれない・・・。
大げさではなく、そういった言葉との出会いを経験した人もいるはずだ。

俺もコラムを書き、本を出版する。
それは、多くの人に向けて言葉を発する機会があるということだ。その稚拙な言葉の羅列に、誰かの人生が動き出すほどのエネルギーが込められるかはわからない。しかし、正しいとか、正しくないとかではなく、この地球上のどこかの誰かたった一人の人間にでも「何かを感じた。」という人がいれば、文章を書くという大業に関わった意味があるかもしれない。そう自分に言い聞かせて深夜のパソコンに向かっている・・・。
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