スポーツ活動中の動作には、それぞれ競技特有の動作パターンがあり、そのパターンで効率的に発揮される筋パワーの大きさがトレーニング効果を高め(特異性の原理)、しいては競技力を向上させる鍵となる。
パワーチェンジトレーニングとは、トレーニング効果における「特異性の原理」に着目して、目的とするスポーツ活動に特異的な動作を合理的に身体に強制させて、トレーニング効果あるいはスポーツ技術を高めることを狙った新しいトレーニングである。
パワーチェンジトレーニングを開始するに当たっては、あらかじめ下記動作測定ないしは観察を行って、合理的なトレーニング方法を処方することが重要である。
1.力の発揮時期
2.身体動作が必要とする力学的特徴
3.運動時に使われる関節可動域
4.力の出力方向
5.動作時の身体姿勢
リハビリテーションや健康維持増進、あるいはスポーツにおける競技力向上などの目的に応じて上記5つの観察ポイントに応じたパワーチェンジトレーニングの方法とその解説
1.筋力発揮のタイミングを動作特性に合わせる
実施する運動あるいは、実施する競技の動作において、力学的ならびに解剖学的観点から、最も必要、あるいは有効とされる筋力発揮のタイミングを判定し、そのタイミングに合わせて筋力を発揮することを体験させ、習得させることを目的とする。
2.運動の力学的特徴に合わせる
健康づくりあるいは競技力向上に必要な運動の力学的特徴は、物理量として表すことができる。それらの身体運動の特徴を物理量として表して判定し、この特徴に合わせた筋力発揮を強化できるように特異的に鍛える。
3.競技において使われる関節可動域に合わせる
実施する運動あるいは、実施する競技の動作において、実際に使われる関節可動域、あるいは獲得が必要とされる関節可動域は行う動作の種類によって特異的に違いがある。それらの関節可動域の特異的な違いを判定し、運動させる関節の角度を実施する運動、あるいは実施する競技の動作に合わせてトレーニングを行う。
4.筋出力を合理的な出力方向に合わせる
実施する運動、あるいは実施する競技の動作において、最も有効とされる筋出力の方向は動作の種類によって異なる。その発揮を行う方向を判定し、その方向へ筋力が無駄なく出力される(神経支配の適正化)ことを目的とするトレーニングを行う。
5.動作時の姿勢の改善
身体が発揮した筋力を効率よく目標とする物体に伝達することができるように、動作時の全身の姿勢や動作を改善し、力の伝達効率の向上を目的としたトレーニングを行う。
これらの結果は、高齢者や心筋症の患者など、循環器系に負担を与えたくない者のトレーニングに非常に有益となる可能性があります。(第64回 日本体力医学会大会 発表資料より)
また、アスリートへのトレーニングとしては、出力の大きさ(図4)や出力方向(図5)が矯正されることが明らかになっており、ペダリング矯正ギアを使った研究実験では、8週間の計画的なトレーニングによって約15%も力の伝達効率が上昇(図6)しました。
(日本体育学会第58回大会バイオメカニクス分科会 発表資料より)
これらの結果は、アスリートの更なる進化に欠かせないトレーニングとして注目を集めています。 このように、今までのトレーニングに無い高いレベルでの特異性に沿ったトレーニング負荷が設定できるようになり、大きな効果が期待できます。
なお、当クラブコングにおいては、このようなマシントレーニングだけでなく、フリーウェイトによるトレーニングも指導しております。
・特許取得
第3764124号(自転車のペダリング矯正装置)
第4054784号(体幹筋群の強化を行うためのトレーニング装置) その他特許出願中