COLUMN

健康コラム

「肩の痛み」:五十肩(その3)

2008.03.04

 前回は急性期を過ぎたら行う『コッドマン体操』についてお話しました。

 この体操は肩関節にかかる負担が少ないので、急性期を過ぎたすぐ後には有効なのですが、これだけでは肩の動きを良くするには限界があります。
 よってこの体操で肩関節がある程度動くようになれば、痛みの耐えられる範囲で、決して無理することなく積極的に肩の筋肉を使う運動をすることが勧められます。筋肉を動かすと筋肉への血流が増え、炎症をおこした組織への修復がうながされるからです。


 しかし「肩の筋肉を使う運動は大切なことはわかるが動かすと痛い」という場合は『等尺性運動』がお勧めです。

 『等尺性運動』とは、筋肉の長さは変えないけれども筋肉は緊張させる運動です。例えば腕相撲で相手の手をぐいっと握っている状態では、関節は動かないけれども腕の筋肉は膨らみます。このように関節を動かすと痛いので筋肉の緊張で筋肉を膨らませ、緩めると筋肉が元に戻る動作を、繰り返し行うと筋肉への血行が良くなります。


 また筋肉を動かす運動にはもう1つ『等張性運動』というものがあります。

 『等張性運動』は関節を動かして筋肉を収縮させる運動です。代表的なものに『棒体操』という60cmほどの棒を両手で持って、健側(痛くない方)を動かすことで患側(痛い方)の関節を動かすという運動があります。
 また、固めのベッドの上で仰向けに寝て、患側(痛い方)の腕を上に挙げて、健側(痛くない方)の手で患側の腕を引っ張りながら頭側に倒す運動も有効な運動の1つです。


 このように『五十肩』の体操では最初、『振り子運動』で筋肉の緊張を取り除き、その次は『等尺性運動』『等張性運動』を行います。

 等尺性運動は、関節を動かさないで筋肉を収縮させるので、自分の力だけで行うのは難しいので、最初は医師や理学療法士、トレーナーなどに指導してもらうと良いかと思われます。ただこの等尺性運動は、繰り返すと血圧を上げますので心疾患のある方は医師に相談してください。

次回は『五十肩』に対する生活についてお話します。
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寺門厚彦

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寺門厚彦

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