42番ゲートにさっきまで掲示されていた NW1195便の表示が無くなっていた。
瞬間、何が起こったか分からなかった俺は、出発ゲートが予告無しに変わったのかと出発ゲートの再確認にインフォメーション用のテレビ画面が並ぶところまで走った。
【NW1195 Canceled 】 うーん、これはどういう意味だろう??
その文字を発見した途端、いやな予感が背中を走った。
気を落ちつかせて英語を読む・・・。 え! キャンセル!! 飛ばないということか?
俺は、契約するフィギュアスケートの織田信成選手のフィジカルトレーニング指導のため、ニューヨークへ向かっていた。これは、乗り継ぎのデトロイト空港での出来事である。
「松本様、本日の便への変更はすでに満席で、ご予約はできません。明日の便ならご予約が可能です」ジャパニーズデスクに電話をかけても、受話器の向こうでは俺の意向は全く通らない。.
目の前が真っ白になった。
しかも、ホテルも自分で取れということになった。いきなりホテルを取ろうにも、稚拙な英語力しかない俺に、全く見知らぬ土地で、ホテルの場所も分からないのでは、まず無理といってもいい話だろう。その上、始めて訪れるニューヨークでは織田君のお迎えがなければ、織田君の家にはたどり着き様がない。
それで織田君の練習スケジュールを狂わせるようでは、俺が訪れる意味も半減する。
しかし、何度かジャパニーズデスクに連絡を取るうちに、最終便が一席だけ空いたようだ。
今日中に移動できる! 神は見放さなかった。最悪の事態は避けられたものの、最終便まで約9時間。デトロイト空港でただ一人、最終便を待ち続けることとなった。